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かしこい日本語、ATOK(エイトック)。
新マシンに乗り換えたのをきっかけに、日本語入力(IME)を「MS-IME 97」から「ATOK 12」にした。
とてもかしこい。時たま、「は?」という変換をしてくれる。けれど、それを除くと明らかに変換精度はMS-IMEより上だと思う。さらに、学校のMacで使っていた「ことりえ」なんかにとは比べ物にならない。
メールなんかを書くときにはこれほど重宝するIMEはない。ふつうに打っていって、スペースキーを押すだけでほとんど用が足りてしまう。MS-IMEはかなり確認作業をしていた。
ただ、ここに少し恐いことがあるような気がする。
こういう文章の様に、自分の考えを述べるときには、ここは漢字でなくちゃいけないとか、ここはひらがなの方がいい雰囲気になるだろう、と言うことがある。
もちろん、ATOKには日本語監修委員会みたいなのがあって、漢字・かなをきちんと検討している。だから、そのまま使っていけば、通常では全く問題ないように変換してくれる。つまり、本当に、打って変換して、次のを打っていけばいいだけ。
だから、逆にここに恐いところがあると思う。
ATOKは快適だから、自分の雰囲気に合うように漢字を修正する事をともすると忘れてしまいそうになってしまう。さらに、IMEの開発では、出された日本語を何も修正しないでそのまま使うことを理想としている。
今後予想されるであろう、音声認識ではこの傾向が一層強まるような気がする。IBMがMacに提供する、音声認識ソフトはしゃべった言葉が一瞬のうちに変換まですまして、画面に並んでいった(Mac World Expo 2000 Tokyo)。
IMEが便利になればなるほど、僕らは入力した漢字をじっくり考えて行かなくちゃいけないんじゃないかな。そうしないと、道具としてだけの言葉が大きくなってしまうのじゃないかな。
参考文献
月刊アスキー 2000年2月号(NO.272) p.330-335 「電脳日本語論 vol.4」
月刊アスキー 2000年3月号(NO.273) p.378-383 「電脳日本語論 vol.5」