ダム

ダム湖
巨大なダム湖
2000.1.4

 大きな川をせき止めて、水を止める。人口集中地域に水を安定に供給する。ダムは人工の滝にもなるから、その力で電気を起こす。でも、ダムとえいば「村が水に沈んだ」という話もある。

 僕はこのところ完成間近のダム(もうほとんど完成して、水もほぼ100%たまっている)によく行く。
 最近作られたダムなので、水没地域から移された代替地区の近くに、大きな水際公園が作られている。夏には清涼感を求めて、また冬は巨大なもみの木がクリスマスツリーになるのでそれを目当てに人が集まる。(僕は、人のいないような時をねらって行く)
 水際公園は巨大で、ダムのスケールの一端を表すのかなぁ、と思ったりもする。けれど、公園の中の資料館に行くと、水没前はこんな感じです、と言う展示があったりして悲しくなったりもする。

 僕は考えた。このダムによる地域の変化というのは、よかったか、悪かったか。あくまで僕の考え。
 近代的に整備されてしまう、というのはどこか嫌だ。昔ながらの谷間の村、というのは何とも地味でよい。だから、ダムによる地域の近代化には反対だった。
 でも、水没後には大きな広場が整備されて、観光客がいっぱい集まるようになった。街の密度も高くなった。
 地元の人も、昔のように、一緒に畑を耕すというつきあいではなくなってしまったかも知れないけれど、新しいつきあいの形ができたんじゃないか。
 それに、水没直前に村に伝わる祭りが復活したり賑わったという。
 古くからの人々の集まりの復活と、新しい人の集まりができた。
 あの村はダムの出現により人の集まりを取り戻したのだ。水没地域だけではなくて、村の周辺の地域も。人が集まる、活気が生まれる、こういうきっかけになったのであれば、ダムは悪者ではないのだと思う。


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