夜の電車

夜行列車
夜行列車

 最近、夜、と言ってもさほど遅くはないけれど、夜に電車に乗ることが多くなった。夜は独特の雰囲気を持っている。電車も独特の空間である。この二つが合わさるとどうなっていくのだろうか。

 夜の電車と言って真っ先に思い出すのが、高校の時に東北を旅行していて乗った電車。途中から、地元の高校生が同じ車両の向かいの席に乗ってきた。
 東北というのは夏休みが終わるのが早い。8月20日頃には夏休みが終わる。僕らは関東の学生だったから、20日をすぎていても夏休みだった。20日をすぎると観光地がすく、と言うこともあって20日過ぎに旅行に出かけた。
 電車は日本海を走っていた。夜の9時頃だった。
 乗ってきた高校生は、二人くらいの女の子と、四人くらいの男子生徒だった。
 女の子を中心にして会話が進んでいった。地元の高校生の話は、部活や恋の事だったと思う。僕らと同じ事を感じる高校生だった。
 僕らも彼らが乗ってくるまでに、同じ様な話をしていたのかも知れない。
 電車に乗っているのには十分遅い時間。僕たちもどこかボーっとしていたのだろう。何ともいえない、すがすがしい雰囲気に包まれていた。
 地元の高校生が部活をやり終えた後の爽快感を持っていたかも知れない。僕らが旅の帰路にあり、旅が充実した物だ、と思っていたからかも知れない。
 離れたくないな、と思わせる感じがしていた。それは、僕が彼らと「時間を共有しているなぁ」と思ったからかも知れない。

 人は闇をおそれる動物だという。電車というのは闇の中にある光だ。闇から逃れて、光の中にいるから、人はそこで安心するのかも知れない。
 でも、こんな難しいことを言わなくても、みんな夜遊び(変な意味じゃなくて、単に夜に趣味なり散歩なりをすること)がすきだし、僕も好きだ。
 僕ももう少し夜の電車にお世話になるのだと思う。


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