海辺

海辺の少女たち
海辺

 梅雨の合間の晴れ間がいつになく暑い今年。暑けれ海に行かなくてはいけない。いけない、と間で言わないけれど、海に行きたくなる事は事実。先週、ちょうど海の近くに用事があったので、海にも行って来た。
 駅から海への道を歩いているいると、風が涼しくなる。アスファルトの照り返しのあつい道を歩いていくと、堤防の向こうから、海の匂いを持った風が吹いてくる。
 僕の海の匂いは、たぶん海草が浜に打ち上げられた匂いだと思う。とても個人的なことなのだけど、僕の母の実家が海のすぐ近くなのだ。最近はあまり行かなくなってしまったけれど、小中学校の頃は夏休みに毎年訪れていた。海があるから当然泳ぐし、半分は海で遊ぶために行っていたような気もする。
 水着に着替えて、うきうきしながら海へ歩いていく。あと少しで海だ、と言うところで登り坂になる。堤防があるので、まだ海は見えない。海の匂いだけがしてくる。最後の100mを歩いて、堤防の上に立つと、視界180度に海が広がった。

 先週、行ったところの海の匂いは僕の海の匂いとはちょっとちがっていた。浜を見ると打ち上げられた海草や、貝殻などは見られなかった。僕のよく知っている浜とは違っていたので、ちょっと残念だった。
 それでも、しばし砂浜に腰を下ろし、海をボーっと眺めた。時々わき上がる波に、向かっていく人。波打ち際で、波と戯れる人。ザーっとあがる波は、見ていて飽きない。暑いところで波を眺めてしまった。
 砂浜に座っているだけだと、太陽の光は暑いし、砂も焼けていて暑い。唯一、海からの風が涼しい。でも、この風がいい。海の匂いを運んでくる。僕の知っている匂いと多少の違いはあっても、やっぱり海の匂いだ。
 別に、海に思い出があるわけでもないし、格別海が好きな方でもないと思う。
 それでも、海のそばで、海を近くに感じながら過ごすというのは悪くないと思う。もちろん、海には行っていくのが一番だと思う。
 今年の夏はどこかの海に泳ぎに行こうかなぁ。


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