打ち上げ花火

花火
花火

 今年は見る機会がないかな、と思っていた打ち上げ花火。でも、夏の風物詩一回は見ておきたいな、と思い、情報誌を検索。今週、仕事場の近くで打ち上げ花火を見ることができた。

 花火は好きなのだけれど、当日は乗り気ではなかった。花火の感じよりも花火会場の人の感じが先行してしまっていた。どこでやる花火大会にしろ、会場には人、人、人。ゆっくり見る気分ではないような気がしてしまっていた。
 案の定、駅を降りると人、人、人。でも、人の波に飲まれて、店や屋台の前を通っていくうちに気分が盛り上がっていった。花火の楽しい雰囲気を思い出してきた。
 一番人の多い会場から少し離れて、あまり人のいないところに陣取った。それでも、人はいるわけだ。案内図を見ると、目の前が二つあるうちのひとつの打ち上げ場所だった。
 花火は少し離れた会場で上がりはじめた。正直少し物足りなと思った。数年前見た長岡の花火大会の迫力には負けている気がしてしまったからだ。
 でも、目の前の会場で花火があがり始めると音と同時に花火が開き、服がふるえるのが分かる。無意識のうちに声が出て、花火を視界いっぱいに堪能する。この日は向かい風が吹いていたので、煙や灰までやってきた。これぞ花火の醍醐味か。
 ふたたび遠くの会場で尺玉の連発。これまた、視界いっぱいに大輪の花が咲く。大迫力。

 最初は人が多くていやだなぁ、とくずっていたけれど、人の活気に押されて、花火の華やかさに押されて最後はすっかり元気に花火に見入ってしまった。
 打ち上げ花火は、大きく、華やかだ。それは、職人さんが力を込めて作ったからだけではなくて、闇に上がる火の魔力だけでなくて、多くの人が気分の高ぶりの中で見ているからと言うこともあるのだと思う。
 帰りの電車を待つホームの上で、どうやら今日の花火大会で仲良くなった人を見かけた。なかなかあることではないけれど、そういうのもいいな、と思う。そして、やっぱり、花火は人あってのことなのだなぁ、と思う。

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