観覧車
先週、久しぶりに観覧車に乗った。地上からゆっくりと、上がっていく。徐々に変わっていく風景。動きが緩やかになったな、と思うと一番上についていた。今度は徐々に、降りていく。
今年の3月に、僕の地元に阪急百貨店ができた。そこには、昔ながらのデパートの屋上の代わりに、手頃な大きさの観覧車が作られていた。一回は乗りたいなぁ、と思いながらなかなか乗る機会がなくて、半年以上がすぎていた。
今回、友達とその百貨店を訪れた記念に(?)、観覧車に乗った。
観覧車というのは不思議な乗り物だと思う。高いところに上がっていく乗り物自体さほどないので、元々変わっている気もする。でも、僕はそれ以上にあの速度とゴンドラの何とも言えない雰囲気が好きだ。
こどもの頃、ゴンドラに乗り込もうとするとき、ゴンドラがずいぶん速いスピードで動いている気がした。ちゃんと、乗り込めるかどうか心配だった記憶がある。今でも変わらず、結構速いなぁ、と感じた。
ところが、乗り込んで高さの半分をすぎた頃になると、どうも進んでいない気がしてくる。ちょっと、不安にさせたれたりもする。
この高さあたりになると、ゴンドラから見える景色が変わってくる。普段見ている景色でも、まるで別世界のように感じた。ゆっくり別世界を楽しもうとしていると、ゴンドラはもう下がり始めていた。
さっきまではあんなにゆっくり動いていたはずなのに、急にスピードが上がった気がしてくる。外の景色に目をやりながら友達との会話を楽しんでいると、もう、下に降りてしまっていた。
ゴンドラを下り、ふたたびゴンドラに目をやるとゆっくりと上がり始めていた。
観覧車なんて、ただの遊園地の乗り物かもしれない。けれど、ゆっくりとまわる観覧車は、僕らに小旅行をさせてくれた気がする。
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