研究

 昨年の4月から、化学の分野で研究をしてきた。先週、その1年のまとめというべき発表会があった。

 化学の中でも実際に使える物質に近い物を作っていこうという分野の研究になる。この分野では作る目的の物質があって、その物質に向かって何段階もの合成をしていく。目的の物ができたら、実際にその物質ができているかどうか確かめ、どのような性質を持っているかを探る。
 まず、目的の物を得るまでに長い時間がかかる。こっちの方法はどうだろう? こっちの経路はどうだろう? と探求しながら行っていく。目的の物質というのは誰も作ったことのないものの場合が多いので(これは化学でも分野で異なるけれど)、試してみなければわからない。ただ、指針になるものはある。個々の「これとこれを混ぜたら、これができる」というのは過去にあったものを使うので、昔の論文を手がかりにこの方法は正しいのか? ほかに方法はないのか? と探す。
 いったん軌道に乗れば、ある程度は実験をしているだけですむときもある。けれど、近い研究をしている人の考え方に触れることも大切になってくる。自分の作っているものとの比較にもなるし、参考にもなる。
 さらに、実験だけしていると、目的のもができたあと、その物質の性質を探る部分でなにもできなくなってしまう。性質を確かめるためには、性質を確かめるための実験が必要となる。ところが、確かめるための実験もいろいろな種類があって、どの実験をすればいいのか。その実験をしたときに、どういうデータが出てくれば正しいといえるのか。こういうことは、いろいろな知識も必要になってくる。
 この一年間、目的の物質を作ることに少々重きをおいすぎたような感が自分自身にある。これは、今後の研究に生きていくと思う。
 でも、それだけでは悲しいと思う。ともすると研究は非常に狭い分野になりがちななる。研究で得たことをそれ以外の生活に活かすことも大切だと思う。また、普段別の趣味や人間関係を構築して自分の幅を広げておかなくては行けないと思う。


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