小泉首相

 一月ほど前、自民党の総裁選挙が行われ、小泉純一郎氏が自民党の総裁となった。ついで、国会で首相指名選挙が行われて、小泉氏が首相になった。今までの自民党の首相達だけでなく、非自民連立内閣時代の首相とも少し違う雰囲気がする。
 改革をうたっている小泉氏が首相に推されたのは、マスメディアの果たした役割が大きかったと思う。「自民党と言う党は世論で批判されると、自浄作用が働きその動きにあった人とをきちんと総裁に据える動きが続いてきた、今回も自民党が本当に腐っていなければ小泉氏が総裁に選出されるだろう」と、論じている人が多かった。この発言の裏には小泉氏を選べないような自民党はだめだ、と言う意味があるのは明らかだ。
 また、大きな人気を集める田中真紀子氏が小泉氏をおすようになった。前回の総裁選挙の時には小泉氏を「変人」としておきながら、今回の援護射撃はすごかった。国会答弁で「この人(小泉氏)だけは命を懸けていると思った」と言うくらいだ。
 問題は、果たして本当にそうなのだろうか、と言うことだ。本当に小泉氏は命を懸けて自分や自民党の考えを実行に移そうとするのだろうか。僕は大きな疑問を持っていた。
 しかし、先週すでに結果が出た。元ハンセン病患者らが起こした訴訟の第一審判決に対して控訴しない決定をした。首相自ら「異例」と言う言葉を用いたほど異例だと思う。これには驚いた。野党の言うように「多少、首相の首をすげ替えただけで政治が変わるとは思わない」と思っていたからだ(ただし、僕は今の野党が政権をとってもさほど政治が変わるとは思っていない)。
 しかし、これだけでは僕は全面的に小泉内閣は支持しない。今回の判断は大きな評価に値すると思うけれど、まだまだ問題は山積だ。道路財源の問題とか、田中外相の発言とか、首相の靖国神社参拝問題とかここの政策、考え方について判断して行かなくてはいけないと思う。
 対する野党も、これまでの「自民党の言うことには反対」では成り立たなくなっている。きちんと対抗政策を示してお互いに議論していってほしい(当然、与党に賛成の部分もあるだろう。こういう状態になって初めて、我々は「政策を見て」判断し、選挙で投票することが出来る。


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