満月

満月
満月
(月食でかけ始める満月)

 先週、1月30日は満月だった。帰りの電車の中で、ゆっくりと満月を見上げた。久々に、「月にはウサギがいて餅をついている」いう言い伝えを思い出した。

 30日は朝のニュースで、「今日は満月です」と言っていた。29日もかなり満ちていたので、29日の月が満月かと思っていた。
 30日の夜、帰り際に夜空を見上げると見事な満月が浮かんでいた。冬は空気が澄んでいて夜の空に浮かぶ月や星もとてもすんで見える。
 電車に乗って、扉のわきに立って外を見ると、まだ雲のない空に満月が浮かんでいた。しばらく満月を見ていたら、月の模様が浮かび上がってきた。ウサギが餅をついている、と昔良く聞いた言葉を思い出した。そのまま眺めていたら、かなり忠実にウサギの餅つきが描かれているのではないか、と錯覚してしまったくらいだ。
 なんとなく、自分の幼少の頃を思い出したり、「ウサギの餅つき」という見事な例えを思いついた昔の人々に思いをはせたりした。餅つきやウサギはとても日本であることを意識させてくれるし、今でも餅つきといえば正月の風物詩であることを連想させてくれる。  こういう例えを想像した昔の人が、単にすごいとかは思ったりはしない。けれど、いつの時代も変わらぬという普遍性を持ちながら、ユーモアがあることを想像すると言うことは、今の時代においてもたやすいことではないと思う。

 また、面白いのが、同じ様な言い伝えは日本だけに限らないと言うことだ。月は国によって見え方が違うので例えも大きく変わってくる。たとえば、お隣韓国は日本と同様「月とウサギ」、東南アジアのインドネシアでは「女の人が編み物をしている」などなど。その国の風土や考え方を反映している事が多いようだ。

 僕は「ウサギが餅をついている」という話をすっかり忘れていた。覚えてはいたのかも知れないけれど、月を見ながらウサギを重ねたのは久々だった。幼い頃に感動したはずの事をすっかり忘れていたのは少し悲しかった。


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