感謝

 先々週から先週にかけて大学で卒業論文・修士論文発表会があった。大学4年生、大学院修士課程2年生が1年間、2年間の成果をまとめて学科全体に向けて発表した。その後僕は思わぬ所から感謝された。昨年は僕が大学4年生として発表する立場だった。今年は、大学院1年生として後輩をサポートする立場、客観的に発表を聞く立場になった。

 一つ目、研究室の後輩の実験のアドバイスをしたり、発表の練習を見て直した方がいい所を指摘したり、素朴に自分の疑問を聞いたりした。僕にとっては当然の事をした。
 発表が終わった後、打ち上げの席で一人の後輩からとても感謝していると言われた。やる気のない自分なのにも関わらず、僕にとって何の特にもならないのに、発表練習につきあってくれてありがとうございました、と。僕と、僕と同時に感謝された先輩は全く当然のことをしたまでだ、と言った。さらに、後輩は当然のこととしてやれる先輩方と、そう言う雰囲気のある研究室に感謝したいと続けた。

 二つ目、発表会当日、僕は友人の発表に一つ質問をした。僕は僕自身に発表会で一つは質問をするという課題を課していて、友人の発表から素直に疑問が浮かんできたからだ。
 この友人にも感謝された。自分の発表を聞いてくれて、興味を持ってくれて、内容を分かった上で質問をしてくれた。質問によって、自分の発表が僕らに伝わったことが分かったし、興味を持ってもらえることが分かった、と。
 これは自分でも経験のあることなので感謝してくれたのは僕にとっても単純にうれしかった。僕に課した課題が、思わぬ所でも人の役に立ったのは良いことだと思う。

 僕にとっては、当然のことや思っても見なかったことが相手から見るととてもうれしいことになって、僕も幸せだった。でも、逆に僕は今まで回りがしてくれたことに対して、ここまで謙虚に感謝したことがあったのか、と思った。僕が当然と思っていても、相手は大きな努力をしている。それに対し、僕は少し傲慢だったのかも知れない。もう少し回りに対して謙虚にありたいと思う。


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