ケーキ

 先週の日曜日、ケーキを食べに行った。コンビニなどで手にはいるような安いケーキを除けば、ケーキを真面目に食べるのは久しぶりだった。

 ケーキ好きの友人に勧められていった店は世田谷のとある駅前にあった。駅前の商店街は、住宅街の中で小さな商店が沢山建ち並んでいる典型的な世田谷の商店街だった。そのケーキ店も特別なたたずまいをしているわけではなかった。
 店は感じのいい店だった。有名なケーキ店であること以上に、世田谷の商店街のアットホームなケーキ店であることを大切にしている感じだった。
 店の中には15席ほどあり、店内でケーキを食べることが出来た。僕らは、友人の薦めでチーズケーキを食べることになった。なんでも、このケーキが一番うまいらしい。僕は店のおすすめの物を食べるのも好きだったけれど、苺ショートも食べてみたかった。
 僕にとってケーキとは苺ショートであり、苺ショートがなければケーキ店としては認めたくなかった。ま、これは半分冗談にしろ、やはり基本は苺ショートだと思っている。
 さて、程なくコーヒー(僕は紅茶が苦手なのだ)とチーズケーキが運ばれてきた。チーズケーキはとても美味しかった。
 ケーキを食べながら僕は少し昔のことを考えていた。ショーケースで苺ショートを見ていたときに、昔の事を思い出した。腰の悪かった祖母が病院に通い、その帰りにケーキを買って来てくれたいた。それがうれしく、僕はわざわざ迎えに行っていたらしい。らしい、というのは良く覚えていないからだ。でも、言われると何となく光景を思い出す気がする。  この時のケーキは間違いなく苺ショートだった。その後もいくつかケーキにまつわるエピソードを思い出した。おそらく、いくつかの誕生日やクリスマスだったと思う。子どもの頃、ケーキと言えばやっぱり特別な時にしかお目にかかれない物だった。

 少し前、お礼として友達にシュークリームを買っていったことがあった。みんなでわいわいやりながら食べた。なかなか思い出に残っている。やはり何かの記念にはケーキは欠かせないのかもしれない。


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