利家とまつ

金沢城石川門
金沢城石川門
1997年3月

 今年もNHKの大河ドラマが終わり、今日、総集編が放送されている。今回の大河ドラマは今まで主役としては登場していなかった、加賀百万石の前田家を築いた前田利家とその妻まつが主役だった。

 前田家は戦国時代に加賀、今の石川県の金沢に城を構えた。織田信長、豊臣秀吉の時代の事である。その後江戸時代も加賀を統治し続けた。実は、僕は高校を卒業するときに北陸を回り、金沢市内は1日かけてぐるっと一周したのだ。冬だったが天気が良く、いろいろな人と話しが出来き、また、新しい都市と昔ながらの街並みがうまく共存していけそうな雰囲気を感じてとても気に入った印象があった。
 さて、今回のドラマである。前田利家は、ドラマのなかでは秀吉が死んだ後、実質的に天下を治めることとなるが、それ以外はずっとナンバー2であった男だ。言ってしまえば、立ち回りがうまく、そのときの実力者に付いていく力が強かったのだろう。しかし、このドラマはそう感じさせまいとする所があったし、秀吉の死後、家康と争い天下を取らなかったと言うのは、前田利家の「男」ぶりなのだろうか。
 とにかく、ドラマ中では利家の「男」を強調していた。策略や、汚い考えはまわりの者が引き受けたと言う印象もある。しかし、汚いことはまわりがしているだけで、利家は常に一本、筋を通していた。それだけでなく、信長、秀吉、家康といった権力者達にも怖じ気づく様なところはなかった。ここまで真っ直ぐであれば誰からもしたわれ、おそれられたのだろう。
 利家の友、秀吉が死んだ後は、約束を守り続け秀吉の意思を引き継ごうとした。しかし、やはり、仕える人がいなくなり、張りがなくなってしまったと言うことなのか、追うような最後となる。最期に利家は「ずっと、女が弓を引かなくても良い時代を作ってきた」と言う。

 ドラマの最後は、まだ利家、秀吉、そして佐々成政の妻たち、まつ、おね、はるが「色々ありましたね」と昔を懐かしむ光景で終わっていった。


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