研究発表

 先週、この2年間の大学院生活のまとめと言える修士論文発表会があった。僕らは、化学についての研究をしてきた。お互いに発表を聞きあって、僕らは化学から別の何かも学べたんじゃないかな、と思う。

 このホームページでは、あまり触れてこなかったけれど、僕はある大学の大学院の修士課程(前期博士課程とも言う)で2年間、化学の研究をしてきた。化学とは、僕らの身の回りの色々な物質が、どのような性質を持っているか、いったい何から出来ているか、どうやったら作ることが出来るのか、を考える学問だ。さらに、新しく役に立つような素材を考え、作ったりする学問だ。
 僕らが相手にしてきたのは「物質」だ。人のつながりから離れて、ただひたすら「物」に向かっている事にもなりかねない。というのは、実験をして、思いもよらなかったことが分かったり、いままでこの世になかった物質を作り出すのは、実際とても面白い。しかし、世捨て人のようにただひたすら物質を扱っているだけではいけないと言う思いもある。
それに、今回のようにお互いに発表を聞きあうような場もある。
 今回、発表を聞いていて、最初は皆がどのような研究をしていたのか、ということに関して興味深く聞いていた。しかし、同じ大学の同じ化学という分野でも、全然違うようなことをしている人の発表は、勉強不足なのかも知れないけれど、よく分からなかったりする。なので、途中で聞くのをあきらめてしまう人もいた。
 けれど、そう言う人の発表を聞いていても、何となく、雰囲気が伝わってくる。何の雰囲気だろうか。それは、発表している人自身だ。

 化学という研究を通して、発表している人が表現されていたのだ。そう思って聞いていると、内容は分からない部分があっても、とても素直に自分の中に入ってきた。そして、化学と言う学問を通して、僕らが何を考え、何をしてきたか少し見えてきたように思う。それは、表面上は、どうのように物質を扱ってきたかと言うことだ。しかし、その奥には単に化学という物質を扱う学問の領域にとどまらない事があると、信じている。


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