ネオン

 毎晩、家への帰り道、住宅街の街道を自転車で走っていると、途中、ひときわ明るい一角がある。夜遅くまで営業しているスーパーマーケットやパチンコ店の照明やネオンサインが光る。

 4月から生活する場所が変わり、毎日の生活の範囲は自転車ですむほどの範囲になった。その僕の行動範囲のほとんどは、住宅街だ。街を少しはずれると工業団地になる。典型的な郊外の姿だと思う。
 住宅街は日が落ちるのと共に暗くなる。家々の窓から明かりが覗いていても、家の中を照らすほのかな照明だ。外の通りは、家から漏れる小さい明かりと、街路灯の小さい明かりがあるだけだ。街は、自然に夜が支配している。僕は、こういう健全な住宅地が好きだ。少し明るい住宅地は仕事をして帰った人がほっとして入っていける空間だと思う。
 夜遅い時間の暗い住宅地は犯罪が起こりやすいと言う側面もある。これには、しっかり対処をしていくべきだと思う。そのためには、街路灯(防犯灯)などを整備したり、家々が玄関灯をつけるなど、道路を明るくする事はひとつの対処法だと思う。程良く明るい、住宅街も暖かい印象がある。
 しかし、不必要に明るいところは、不気味な印象すら受けてしまう。住宅街を自転車で走っていて、突然あらわれるパチンコ店のネオンには、僕は毎日変な印象を受ける。駅前の明るい所にあるパチンコ店ならば、このような印象は受けなかったと思う。静かに明るい住宅地の真ん中に明るすぎるパチンコ店は似合わない。

 派手なネオンをつける必要があるのかな、と考えていたら、友達と車に乗っていてした会話を思い出した。夜景は綺麗だと言う話をしていた。友達が、綺麗だけど寂しい感じがする、と言う。この先は、僕の考えだ。夜の街にはどこかもの寂しいところがある。その寂しさは、いくら人工的な明かりでごまかそうとしても、ごまかしきれる物ではない。それ以上に僕らの心の闇も大きい。たとえ、そこに何も満たしてくる物がなくても、ひときわ明るい一角に自然と足が向いてしまうのかも知れない。


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