渋谷

渋谷センター街

 渋谷という街は、あまり良いイメージで語られることはない。若者の集まる街、といわれても、裏を返せば、若者がたむろする街。流行の発信基地かもしれないが、飛んでもない格好は渋谷からはやる。このところ、僕もこういうネガティブイメージで渋谷をとらえていた。

 僕は東急線沿線に住んでいたので、一番出やすい山手線の駅、繁華街は渋谷だった。ファッショナブルなイメージの街だけど、実はオタッキーな部分もあって、中学時代からよく渋谷に足を運んでいた。とっても健全で、漫画の本屋、古本屋(まだブックオフがメジャーになる前だ)とか、バンダイの直営みたいな店(ガンダムと言えばバンダイだ)とか、後は普通の大きい本屋、CD屋をまわってた。僕らは男だし、目的があるのでさっさと歩くので、変な人たちに声をかけられることは、あっても(白ずくめの人に「幸せですか?」と聞かれた。ちなみに10年前の話ですので)、すぐにふりほどき、実際、悪い話はなかった。でも、いろいろな人がいるのは確かで、女性が一人で歩くのは危ないこともあるな、と思う。
 どうしても、渋谷というと、危ないイメージが先行してしまう。でも、若いエネルギーは確かに集まっている。
 渋谷が、場合によっては危険なのは、いろんな欲望が渦巻くからだ。衣服に代表されるような購買欲に始まり、それを目当てに逆に一儲けしようと言う露天商やら、違法な物を売ろうとする連中。そういうエネルギッシュな街に、ふらっと迷い込んできてしまった人たちを捕まえて、これまた一儲けしたりしようとする人々。いろんな国籍の人たちもいる。自分の体で、もうけてしまおうと思った人たちも集まる。それを求める欲求も集まる。恋人同士で欲求を求めあう人たちも集まる。デモ行進で自らを主張する人たちも集まる。
 渋谷には、正常なヒトのいろいろな欲望が集まっている。今の若者は元気がない、と言うやつは渋谷をはじめとする若者の集まる街を見ろと言いたい。若い世代は確かに、エネルギーを持ってる。そのエネルギーをいったいどうしろと言うのだ。渋谷は行き場のなくなった、"いろんな"エネルギーが混沌と集まっている。ないと思う。


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