間伐材紙

間伐材封筒

 間伐材紙とは、耳慣れない言葉だ。僕もこの言葉を、きちんと聞いたのはつい最近のことだ。

 偶然通りかかった環境関係のイベントで間伐材紙を使った封筒が売られていた。売っていたのは、NPO(Non-Profit Organization 非営利組織)で、話を聞いたところ、これまで本格的に間伐材が紙になったことは無いそうだ。
 そもそも、間伐材とは、森林の手入れのために間引きされた木の事だ。山に木を植林するときは、はじめは木も小さし、途中で弱ってしまう木もあるので、高い密度で木を植える。しかし、だんだん木が育ってくると、木と木の距離を放さなくてはいけなくなる。そのために、間引きが必要となるのだ。
 しかし、現在、日本の間伐材というのはほとんど利用されていない。かつては、薪などの用途に利用されていたのだろうか。現在は、間伐材と言えば、割り箸に使われるくらいだという。そのため、間伐材の値段は下がる。また、普通の材木の利用も下がっているので、「植林→間伐などの手入れ→伐採(材木)→ふたたび植林」という林業のサイクルが成り立たなくなっているという。
 人の手が入っていない原生林、自然林は人が手入れをしなくても木が育ち、枯れ、新しい木が育つというサイクルが自然にできる。しかし、人が植えた人工林は、人が手入れをしないと、あれていく一方なのだ。たとえば、植林から50年経過した杉林は、何度か間伐が行われ、杉が約4m間隔植えられているのが理想らしいが、実際にはそれ以上の密度で杉が植わっている人工林が多いと聞く。密度が高いと、地面の栄養の奪い合い、日光の奪い合いで、杉は疲れ、自らの生長のエネルギーを子孫を残す方向に振り分ける。多く、花粉をとばすようになるのだ。花粉症が近年増えた原因の一つは、杉林が増えたからではなくて、手入れのされていない杉林が増えたからだ。
 杉林をはじめとする、人工林の手入れをうまく行うためには、僕らが日本の木材を使うとともに、間伐材の利用もしていくことが理想的だ。この間伐材封筒は、間伐材の利用を一歩進めようとする物だ。

注:この間伐材封筒、現在はカラマツが使われているそうです

NPO レインボー
同・間伐材封筒について


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