国民年金

 今、国民年金の未納が大きな問題になっている。2002年度の納付率は前年度に比べ約8%低下し、約63%になったという。一部の人は「年金制度を理解していないから、未納者が増える」という。しかし、僕は年金制度を知れば知るほど納める気はなくなると思う。

 日本では、年金への加入が義務になっている。20歳以上になったら、保険料を納めなくてはならない。それと引き替えに、老後や万が一の時に一定の収入を得ることができる。
 こう書くとあたかも、自分の払った年金がいったんどこかに蓄えられて、老後に帰ってくるような印象がある。しかし、実際はそうではない。僕らが「今」納める保険料は、「今」の年金受給者の方へ支払われている。だから、「今の高齢者を支えているのは、今の若い人たちだ。それなのに保険料を払わないのは何事だ」と言われる。たぶん、多くの人は別に今の高齢者を支えるのはかまわないと思っている、と思う。僕もそれは、まあ、そうかな、と思う。
 しかし、あたかも現在の年金制度が未来永劫続くような言われ方をして、払え、と言われるのは釈然としない。少子高齢化がこのまま続くと、今の年金制度を維持するためには、保険料は、数十年後、今の倍以上になると思う。こういう根本的に無理が来ている制度を変えることなしに、また、「保険料が上がり、受給額が下がる可能性がある」というアナウンスなしに、払えと言うのは釈然としない。
 ちなみに、厚生年金に加入していても、厚生年金の保険料として納めている金額の一部が国民年金保険料となっている。それに、厚生年金も実は同じ問題を抱えている。
 また、学生や収入が少ない人向けに納付免除制度がある。しかし、低所得の場合は世帯の収入が一定額以下という基準でどうも不思議な感じがする。
 また、厚生年金加入者の配偶者は保険料を払う必要がないのに、国民年金のみの加入の場合は配偶者も保険料を払う必要があったりする(サラリーマンの妻で収入がない場合は払う必要がなく、自営業の場合はあると言うこと)。
 それに、国民年金の抜本的改革が行われないのは、国民年金を扱う社会保険庁のなわばりだからだという話も聞く。弱者を助けるはずの制度がどこかでゆがんでしまっている気がする。


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