九州 -2-

草千里
草千里

 熊本市内でレンタカーを借りて、阿蘇方面に車を走らせた。なかなか、田舎にならないな、と思っていたら、いつの間にか阿蘇の外輪山に来てしまっていた。

 カルデラの中は外輪山と中心部の山々と木々に囲まれとてもみずみずしい雰囲気を、たっぷりとたたえていた。
 阿蘇山のカルデラを車で四分の一周くらいして、阿蘇の中央の山へと登った。緩やかな起伏の山が続き、広い草原から、下に広がるカルデラの街並みが見える。何とも不思議な光景だった。
 山頂付近を通り、草千里のドライブインで車を止めた。広大な丘陵地帯に草地が広がり、大きな池が二つあり、牛が放牧されている。写真で見た光景がそのまま目の前に広がっている、いや、まるで絵のような世界が目の前に広がっていた。そして、僕らは自由にその中を歩き、小高い丘に登り、遠くの山を全身で感じた。
 山を下り、今度は外輪山へと登る。広い、広い、牧草地帯を走る。周り一面に高い木がなく、遠くまで見通しがきき、雄大な阿蘇の雰囲気を味わう。
 さらに、天気がよいと阿蘇一面が見渡すことができるという、大観峰という所へ車を走らせた。残念ながら、低い雲が広がっていて、阿蘇一面を見渡すことはできなかった。それでも、近くの田畑や阿蘇の不思議な山並みの一部を見ることができた。この日は湯布院に宿泊し、翌日の夕方再び阿蘇に戻ってきた。
 阿蘇は不思議なところで、温泉もわくし、水も湧く。阿蘇の南部にある白水村の白川水源に行った。ここは一帯の水源でも大きなところで、毎分60トンもの水が湧く。その水は冷たく、ほのかに甘く柔らかい。

 この日は、同じ村にある白水温泉の宿に泊まった。露天の温泉に浸かりながら、阿蘇の山々と、田畑を眺めた。この阿蘇には、草原もあれば林もある。あちこちで、水や温泉がわく。大きな池も広がる。何ともみずみずしい。
 こういうみずみずしいところに行くと、とてもほっとする。


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