火星

 先週、アメリカのNASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機が火星にかつて水が存在した証拠を見つけたという発表を行った。身近な惑星での水の存在は生命への期待を高めさせる。

 火星の調査は1976年にアメリカがバイキング1号を着陸させたところから大きく始まっている。その後もアメリカを中心に火星に何台かの無人探査機が送り込まれた。それぞれの探査機で様々な調査が行われ火星の様々な情報が明らかにされてきた。
 また、1990年代には火星の北極と南極に大量の氷があることが明らかになった。かつて、液体の水も存在していたのではないか、と期待が高まっていた。そして、昨年8月火星と地球の距離が6万年ぶりに大接近した。火星の調査への好機となり、日米欧は相次いで探査機を火星に向けた。残念ながら、日欧の探査機は火星への着陸を無事遂げることは出来なかった。が、アメリカの探査機、スピリットとオポチュニティーは予定していた着陸地点に2台とも着陸し、火星の大地を自在に動き回って調査を行っている。
 そして、驚くべき調査結果が次々に地球に送られてきた。まず、「オポチュニティー」が、水の中でしか出来ない物質を次々と見つけ、水の中でしか出来ない様な形をした石も見つけた。かつて火星には多量の水があったのだ。
 さらに、「スピリット」も水の中でしか出来ない物質を見つけた。火星には少なくとも、「オポチュニティー」と「スピリット」が着陸した付近の2カ所で、かつて水が存在していたのだ。もちろん、かつて水があったと思われた所に探査機を着陸させたのだけど、それでも、かつて火星に大海原があったかもしれない、と想像させるのに十分な結果だ。
 残念ながら、今のところ火星に水があった期間がどれくらいかは分かっていない。かつて水があった期間は生命の生息に適した気候だっただろうと考えられている。その期間が十分長く続いていれば、生命が誕生していてもおかしくはない。想像はどんどん続く。

 そして、火星に生命の可能性があれば、広い宇宙には生命が満ちあふれている可能性が高い。壮大な宇宙は、生命に満ちあふれているかも知れない、と、夢は一気に膨らむ。


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