清里

新緑
清里高原にて(たぶん八ヶ岳)

 連休中、クルマで長野県を回ってきた。その最後に、長野と山梨の県境である、野辺山・清里周辺を通ってきた。

 清里は中学時代、自然教室で訪れた、いわば思い出の地なのだ。自然教室は3泊4日で、新栄山荘というバンガローが立ち並ぶ所を拠点に行われた。
 2日目には、15kmに及ぶハイキングが予定されていた。山荘から、1643mの飯盛山へ登りるコースであった。途中、沢にかかる丸太橋を渡るところがあるなど、なかなかハードなコースをグループ毎に、ウォークラリー形式(途中の曲がり角しかない地図を頼りに進む)で歩く予定になっていた。
 ところが、当日、多くのグループが飯盛山の山頂付近にたどり着いた頃に、天候が悪化した。あたり一面に霧が立ちこめ、雨は降り出し、雷がなった。その中、山を下りたのだが、中学生の僕らにとっては壮絶なハイキングとなった。
 下山後、天候は回復に向かい、ウォークラリーも続くはずだった。しかし、途中の沢が雨で増水し、通れなくなってしまった。結局、全員で別ルートをとおり山荘まで戻った。誰もけがをすることもなく無事に戻ることが出来た。増水前に沢を渡り予定通り帰れたグループも一つだけあった。
 翌日は、一転して晴天となり、予定を変更し、山荘近くの丘(はっきりとした場所は不明)までのんびりとした散歩を楽しんだ。

 今考えると、あんな雨の中、グループ毎のハイキングを続けさせてもらったり、翌日予定を変更して散歩をさせてもらえたことはとても幸運なことだったと思う。たしかに、山の天候は変わりやすく危険な部分はある。けれど、その中で自分たちにある程度のことをまかせてもらえたことは、中学生の僕らにとってとても大切なことだったと思う。そして、翌日、計画を変更して晴天の中すばらしい景色を見られたことは、とても単純にうれしかった。
 これは、たった10年前のことだけれど、今の中学生は、ひょっとしたら同じ境遇になっても、同じ体験は出来ないんじゃないかな、と思って、清里からの帰路にクルマを走らせながら、ちょっと悲しくなった。


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