三菱自動車

 かつての三菱自動車(現在は大型車部門は三菱ふそうバス・トラックとなっている)トラックやバスでリコール(回収と無償修理)を隠していた問題が明らかになった。そして、乗用車でもリコール隠しがあったことが明らかになった。

 三菱自動車は2000年にもトラックのリコール隠しがわかり、信用を失墜させていた。これ以前から、三菱自動車は経営が悪化していて2000年のリコール隠しを一つのきっかけにして、独・米の自動車メーカー、ダイムラー・クライスラーの傘下に入り経営を立て直してきた。しかし、三菱自動車の経営状態はなかなか良くならず、ダイムラー・クライスラーは三菱自動車から離れることとなった(これにはダイムラー側の内情もあると思われるが)。そこで、三菱グループが中心となり、ふたたび再建を行うこととなっていた。
 しかし、ここにきて再びリコール隠しが発覚した。まずは大型自動車でだ。車輪ははずれたり、ブレーキがきかなくなってしまったりする重大な欠陥を隠していた。理由は「スリーダイヤに傷が付くから」だ。
 リコール隠しはおそらくどこの会社もやっていたと思う。何回か他の会社でも摘発されていた。しかし、2000年頃のリコール隠しが明らかになった頃から、そういうことは企業倫理に反するので、やめよう、と言う気風が高まっていたように感じる。また、リコール隠しが明らかになった直後は、どういう因果かリコールが増える物だ。
 しかし、三菱自動車は他社や自社のリコール隠しが明らかになると、もうやめよう、ではなく、ばれるとやばい、と言う立場をとった。それまで行われていた闇修理も中止した。ようやく今回、多くの乗用車の問題が分かった。
 しかし、もう、何をいまさら、と言う感じだ。多くの消費者も今は三菱車は買いたくないと思っているらしく、4月の三菱自動車の乗用車国内販売は前年比23%のダウンとなった。

 三菱自動車という会社、グループの「三菱」ブランドに傷が付くことを嫌った。このようなことは昔は良く行われていたと思う。しかし、三菱自動車が行ったことは人の命を軽んじたことだ。そして、時代も変わりつつある。目の前のごまかしではなくて、自らにとって不利なことも公表できる会社がブランドを作っていける時代になりつつあると思う。


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