世界遺産

那智の滝
那智の滝

 先週、世界遺産委員会が「紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)」の世界遺産への登録を決めた。また、北朝鮮から初めて「高句麗古墳群」が世界遺産へ登録された。

 世界遺産は、世界中にある国や民族が誇る文化財や自然を、世界中の人々で共有し、次世代に引き継いでいこうとする物だ。1972年に国連のユネスコ総会で「世界遺産条約」が採択され、各国から世界遺産への推薦が始まっていく。つまり、各々の国の遺産を全人類で共有し、守っていこうと言う動きが広がっていく。日本は、1972年の条約採択後、1992年にようやく条約を締結している。
 その後、国内からも世界遺産への推薦が行われ、93年に「屋久島」「姫路城」「法隆寺地域の仏教建造物」「白神山地」が登録された。その後、今回登録の紀伊山地を含め、2つの自然遺産、10の文化遺産、計12の世界遺産が登録されている。ちなみに、全世界では、134ヶ国で、611文化遺産、154自然遺産、23複合遺産の788の世界遺産が登録されている。
 世界遺産には登録基準があり、その基準を満たさないと登録されない。ちなみに今回の「紀伊山地」は、紀伊山地の自然ではなくそこに息づいた信仰の文化という意味で登録されている。
 国内で特筆すべきは二つの自然遺産(屋久島、白神山地)があることと、原爆ドームが登録されていることだ。自然遺産は世界に154しかなく(複合遺産を入れても177)、その中の二つが日本にあるというのはとても貴重なことだ。
 また、原爆ドームは通常の世界遺産選定基準では登録されない遺産である。しかし、例外的な基準を適用し、「顕著で普遍的な価値を持つ出来事と直接関連がある」と言うことで、登録されている。また、この原爆ドームを推薦した日本ユネスコと、日本国政府もすごいと思う。

 今回、北朝鮮から初の世界遺産が登録されたことも象徴的である。世界の文化財や自然がを、世界の人々で共有し未来世代へ引き継いでいく、という理想のため、これからも多くの遺産が登録されることを願う。


もどる