出雲

出雲大社のしめなわ
しめ縄

 8月12日から16日まで山陰から城崎・京都を鉄道めぐってきた。天候にも恵まれ、車窓から眺める緑と海の色がとても鮮やかな旅行だった。

 12日の夜に、寝台特急出雲で横浜を発った。列車が山陰本線に入り、日本海側へ抜けた頃からもう日は昇っていて、車窓を楽しめるようになっても、列車に揺られ続け、横浜を発ってから13時間半後、ようやく神話の国、出雲へ到着した。バスに乗り換え大社へ向かう。
 大きな鳥居をバスがくぐり、大社の正面でバスを降りる。木立に囲まれている参道をゆっくり進んでいく。一の鳥居からだとずいぶんな距離がある。拝殿では、有名な大きなしめ縄が迎えてくれる。やっぱり、スケールが違う。拝殿の奥には、大社造りの本殿が控えている。詳しいことを知らなくても、大社造りの本殿は大社の「大きさ」を感じさせる。その上、本殿は、かつて、その高さが48mもあったと言うから、その大きさは格が違う。
 残念ながら、葉月(8月)に訪れてしまったので、出雲独特の神無月(10月・出雲では神有月という)の雰囲気は味わうことが出来なかったが、太古の神話ロマンを感じるのには十分だった。

 大社の帰り、日御碕(ひのみさき)をまわって大社に戻り、一畑電車で出雲市駅に戻った。田んぼの中を走る電車はのどかだったが、ふと行きのバスのことをも思い出した。バスは水路に沿って走り、出雲大社に向かった。一畑電車は大社前駅をでるとすぐに水路を渡る。そして、広大な田んぼの中をひた走る。そして、市街地にもいまだに水路が残り、綺麗に柳が植えられていた。
 やっぱり、出雲も水の街なのだと思う。日本書紀や古事記などにも登場する、日本の原点とも言える出雲の国は豊富な水によりはぐくまれてきたのだろう。
 その後、山陰本線を東へ向かって行く。実は、僕は山陰はひなびて少し寂しい所をイメージしていたのだが、全然そういう感じではなかったのだ。一つには、豊かな緑。そして、中国山地から幾多もの川が日本海へ注ぎ、その水辺に田畑と街が広がっていたから、山陰の海沿いをとっても豊かなところと感じたのかも知れない。


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