温泉問題

 白骨温泉で、温泉に入浴剤を入れていた問題が発端となって、全国各地で井戸水をわかして温泉と表示していた所などが明らかになってきた。

 僕自身も温泉好きであちこちの温泉に行っているだけに、「むむむ。やっぱりあったか、こういう話」と色々考えてしまった。数年前に、掛け流しの温泉と、循環式の温泉という話題でも、温泉が問題になったことがあったが、今回は温泉ではない物を温泉と表示してしまっただけに波紋が大きい。
 白骨温泉の場合は、いつからか温泉の泉質が変わってしまった事に端を発しているらしい。それまで、白く濁っていたお湯が、濁らなくなってしまった。ところが、入浴剤を入れると、うまい具合に白く濁った。そのため、入浴剤を入れ続ける用になったという。
 また、井戸水をわかしていた所も、かつては温泉が出ていた物が枯れてしまい、致し方なく、というケースが多いようだ。
 これらの問題の背景には、今の温泉ブームもあるという。温泉ブームでにのり、どの町にも日帰り入浴施設が出来たりしている。お台場にも巨大な温泉施設があらわれるほどだ。実は、日本という国は火山列島なので、国中どこでも、深く掘ればだいたい温泉がわいてくるのだという。そして、温泉一つあれば、町おこしが出来てしまう。そんな構図で、全国皆温泉町、みたいになってしまっている。
 しかし、温泉も限りある資源だ。自噴している温泉であれば、なかなか枯れることはないと言うが(それでももちろん枯れる場合はある)、地下深く掘った温泉は湯量も減ることが多いという。温泉を掛け流しして1年で枯らしてしまうか、循環させて50年もたせるか、の様な事になるのだと思う。
 一方で、湯量が豊富で、湧き続けている温泉もある。そういう温泉を大切にして、いつまでも楽しめるように維持していくとともに、多くの人が近所で気軽に楽しめる温泉も大切にしていかなくてはいけないと思う。
 それは、温泉文化が、日本が世界に誇れる一つの文化だと思うからだ。本物の文化を守っていくことと、多くの人が文化を共有することその両方が大切だと思う。


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