イチロー

 アメリカのメジャーリーグで、イチロー選手が年間安打数の新記録を更新している。以前作られた記録が、1920年というから84年ぶりの更新だ。

 これまで、メジャーリーグの年間打数の記録は1920年にジョージ・シスラーと言う選手が作った257安打だった。それを、イチロー選手が10月2日、本拠地とするシアトルで更新した。記録更新の瞬間は、スタジアム中が総立ちになって、新記録の樹立を祝福した。現在も記録を更新中でどこまでのびるか、あと1試合楽しみである。
 もちろん、イチロー選手の努力はものすごい。それは、日米で年間安打の記録を作った。それも、アメリカは84年ぶりの記録更新と言うことが物語っている。
 そして、僕はそれと同時にアメリカのメジャーリーグの奥深さを大きく感じた。
 一つはその歴史の大きさだ。プロリーグの発祥は1871年頃だという。もう130年以上の歴史がある。その間、さまざまな変化はあったのだろうけれど、130年もの長きの間、国民の愛するスポーツとして続いてきていることはすごいことだ。かつてのメジャーリーグの選手が"伝説"と呼ばれるのもよく分かる。ベーブルースも1914年から1935年にかけて活躍した選手で、60本のホームランを打ったのは1927年。こちらも、もう80年も前の話だ。
 もう一つ、メジャーリーグの大きさを感じるのは、世界に開かれていると言うことだ。日本から渡った、イチロー選手が大記録を目前にしていても、日本人だから、という話は全く聞かなかった。そして、シアトルの人々が自分たちのことのように記録達成を祝っている姿がとても印象的だった。メジャーリーグでアメリカの他の選手が活躍するのは今に始まったことではないけど、数年前、日本で王選手のホームランの記録が破られそうになったときは大きく違う。このあたりは、アメリカの大きさというか、アメリカと日本の文化、成り立ちの違いなのかなと思う。
 日本は聖徳太子の時代以来、1400に渡り一つの民族を中心に、小さい島で続いてきた国だ。それに対しアメリカはコロンブスがたどり着いたのが1492年。多くの人が、新天地を求めて移り住んででき、発展してきた国だ。今も、世界に開かれているのが頷ける。そして、やっぱり、一つの頂点の国なんだろうな、とも思う。
 ともかく、イチロー選手がそういう頂点の国で活躍しているのは僕ら、日本人にとってもうれしいニュースだ。


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