「新選組!」

 今年のNHK大河ドラマ「新選組!」が先週終了した。残念なことに、見せ場の池田屋事件を見逃してしまったりしたのだが、なかなかおもしろかったかなと思う。

 前作の宮本武蔵につづいて、新選組についても漠然とは知っていても、その詳細についてはあまり知らずに、ドラマを見た。もちろん、このドラマはフィクションだから、歴史からは脚色されているけど、新選組の歩んだ足跡が少しは分かったように思う。
 僕は今、八王子市に住んでいるので、新選組を支えた土方歳三の生家がある日野市が隣にある。新選組にまつわるイベントなども行われていて、身近な大河ドラマとなった。  さて、新選組なので舞台は当然、幕末となる。日本の歴史の中で、明治維新が一番おもしろいという人もいるように、この時代は様々な思惑が交錯し、多くの人間ドラマがあったのだろうと思う。もちろん、近藤勇、土方歳三、沖田総司らが活躍する新選組も多くの人間ドラマがあったのだと思う。
 ドラマ「新選組!」は新選組が結成される前から近藤勇らの生涯を描いていた。新選組の前身となる浪士組の結成以前、彼らは何かを探していた。何となく時代が変わりそうな予感がしていて、そこで何か出来ないかとおもいながらも、なかなか探すべきものは見つからなかった。近藤勇は何をしたいのだと問われ「それが分からない」と答える。これは、今僕らが抱えている漠然とした不安によく似ている、というか、それそのものなのだと思う。
 ドラマはそんなところからスタートする。浪士組が出発するまでは、実は、今回のドラマははずれだと思った。ちょっと押しつけがましいところが多かったからだ。でも、浪士組が西に向かい、近藤勇が徐々に頭角を現すようになってくると、押しつけがましさは消えていき、近藤らの真っ直ぐな考えが素直に全面に出るようになってくる。
 実際に、近藤達の新選組がどういう考えで動いたいたかは分からないが、「新選組!」の近藤達は、とにかく真っ直ぐ生きようとする。幕末の動乱期、様々な思惑が交錯する中で、彼らは自分たちの考えを押し通そうとする。そして、近藤達だけではなくて、ドラマに出てくる薩摩や長州、土佐、幕府の人たちもどこまでも真っ直ぐに次の時代を作ろうとする。
 古くさいとか、要領が悪いけとか言われてしまうような事ばかりだけど「誠」のあるドラマだった様に思う。ひょっとしたら、今の時代にもこんな真っ直ぐな「誠」が必要なのかも知れない。


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