スローライフ

山間の田んぼ
山間の田んぼ(山梨県秋山村)

 数年前からスローライフという考え方が広まってきた。肩の力を抜いてゆっくり過ごすときも必要だと思う。そして、そのゆっくり過ごすというのは、実は日本的に生きる事なのではないかと思う。

 どこの国からスローライフという考え方が始まったのかよく分からないけれど、実は日本なのではないか、と思うことがある。日本はこれまで、戦後の復興、高度経済成長、バブルと休むことなく走り続けてきた。もちろん、それはとっても大切なことで、「戦後」がなければ、いま、この僕らがしている暮らしはないのだから。そして、そういう戦後を支えてくれた人たちと一緒に、少し休む時間を作りましょうよ、というのが「スローライフ」の発祥なのだと思う。
 働くときはきちんと働くけれど、休むときはゆっくりしよう。それが、スローライフの文化だと、僕は思うようになった。そして、その「ゆっくり過ごす」部分というのはとても日本的な暮らし方なんじゃないかな、と思う。
 たとえば、ここ10年くらいブームがつづいている温泉。東京から近い日帰り温泉は毎週末大混雑しているし、お台場にまで温泉ができた。「温泉」は日本古来からの、日本の文化だ。
 小さい活動はもっといっぱいある。ここ数年で始まった「打ち水」。都心の屋上を緑で埋めようと言う屋上緑化。人気テレビ番組の、村作りコーナー。緑と水とともに暮らす日本文化だ。
 打ち水をしていると、とってものどかな気分になるし、涼しくなる。スローで和むし、エネルギーも使わない。自分で野菜を育てられば、農薬や肥料だって自分で選ぶことも出来る。ゆっくり過ごして、環境への鱶も減らすことにつながる。僕は、こういうスローライフを応援したい。
 そして、少しずつ大きな動きになっていってほしいと思う。下水道やゴミへの意識が高くなって、大都市にふたたび清流がつくられる。農業や林業への参加が多くなって、山々が健康になる。もちろん、都心も緑で覆われる。二酸化炭素は減るだろうし、山が健康になったら杉や檜の花粉だってずっと減っていくのだ。

 日本の大きな成長で少しおいていかれていた、緑・水・土の文化が、スローライフという新しい形でふたたび大きくなっていく事をとってもうれしく思う。


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